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[Vol.080 2024年2月号]
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第一回 破壊王決定戦開催

当社が1984年以来、販売して参りました”多糖系コーティング型キラルカラム“ 、よくよくご存じの方もおられるかと思いますが、”コーティング型”は物理吸着によって多糖誘導体ポリマーをシリカに担持する形式です。高いキラル認識能力を発揮するのですが、多糖誘導体ポリマーを膨潤、溶解するような溶剤種との接触により、不可逆的に性能が劣化するということ(欠点)も広く知られています。本メルマガをご愛読の皆さまの中には、不幸にして使ってはいけない溶剤を接触させてしまった……、というご経験をお持ちの方も決して少なくないのでは、と拝察いたします。(と言う多数のお声もありまして、この欠点を改良した“多糖系耐溶剤型キラルカラム”の開発をいたしました)。

“多糖系耐溶剤型キラルカラム” が世の中に出てから20年近く経過して、ひょっとしたら、最近キラル分析を始めた、という方の中には”コーティング型キラルカラム“がどんな壊れ方をするのかを見たことがない、という方もおられるかもしれません。
という訳でCHIRALPAK® AD-3(粒子径:3μm、カラムサイズ:0.46 cm I.D. x 15 cmL)カラム多糖系コーティング型キラルカラムの代表的3種の禁止溶剤を打ち込んで(格闘して)、どうなるかをご覧頂きたいと思います。今回の内容も多糖系コーティング型キラルカラムに限定、としてご注意ください。
なおAD、OD、OJなどのカラムで使用されている多糖誘導体ポリマー種は、それぞれ溶解し易い溶剤種が異なりますので、今回のAD-3の結果は、あくまでADポリマー=アミローストリス(3,5-ジメチルフェニルカルバメート)系コーティングキラルラムに対する結果とお考え下さい。

今回の決定戦に出場するのは3本の “CHIRALPAK® AD-3” (リングネーム:AD-3一郎、AD-3次郎、AD-3三郎)です。まず各選手の試験前のクロマトグラムとクロマトパラメーター[溶出時間(t)、分離係数(α)、分離度(R)、理論段数(N)、ピーク対称性(Ps)、およびカラム圧力(Press. Drop)]を下にお示しします。

試験前のチャート
AD-3一郎 VS クロロホルム
AD-3次郎 VS THF
AD-3三郎 VS N,Nジメチルアセトアミド
  • t1:4.23, t2:5.19
  • α:1.40, R:5.23
  • N1:10,061, N2:10,921
  • Ps1:1.13, Ps2:1.09
  • Press. Drop:7.0 MPa
  • t1:4.10, t2:5.05
  • α:1.42, R:5.45
  • N1:10,389, N2:11,358
  • Ps1:1.22, Ps2:1.20
  • Press. Drop:7.5 MPa
  • t1:4.09, t2:5.04
  • α:1.42, R:5.48
  • N1:10,294, N2:11,513
  • Ps1:1.24, Ps2:1.19
  • Press. Drop:7.4 MPa
AD-3一郎 VS クロロホルム 図
AD-3次郎 VS THF 図
AD-3三郎 VS N,Nジメチルアセトアミド 図
【HPLC条件(禁止溶剤打ち込み)】
移動相:n-Hex/EtOH = 50/50 <v/v>
流速:1.0 mL/min.、
温度:25℃、
打ち込み量:1µL~100µL、
打ち込み回数:12回
【HPLC条件(評価条件)】
移動相:n-Hex/EtOH = 50/50 <v/v>
流速:1.0 mL/min.、
検出:UV254nm、
温度:25℃、
評価サンプル:Flavanone (FLVN)
打込み: 0.25mg/mL(移動相) x 10μL
コンディショニング:30分

いよいよ“打つべし、打つべし”決定戦の火ぶたが切って落とされます!
3種の禁止溶剤(クロロホルム、THF、DMAc)を第1ラウンド(R)では1μL打込みました。
下に各ラウンドの打込み量と累積打込み量の表を示します。各ファイト後に試験前と同じFLVN評価を行いました。

各ラウンドの打込み量と累積打込み量の表

下記に一郎から三郎カラムの第一ピークの理論段数に変化が見られたクロマトグラムを3枚ずつ、示しました。

AD-3一郎のクロマト(A)

【クロマトA-1】 第9R

AD-3次郎のクロマト(B)

【クロマトB-1】 第9R

AD-3三郎のクロマト(C)

【クロマトC-1】 第6R

クロロホルム 100μL(累積)打ち込み後

  • t1:4.21, t2:5.17
  • α:1.41, R:4.66
  • N1:7,918(79%), N2:8,375
  • Ps1:1.25, Ps2:1.24
  • Press. Drop:7.0 MPa

THF 100μL(累積)打ち込み後

  • t1:4.09, t2:5.04
  • α:1.42, R:4.63
  • N1:7,593(73%), N2:8,238
  • Ps1:1.45, Ps2:1.48
  • Press. Drop:7.6 MPa

DMAc 30μL(累積)打ち込み後

  • t1:4.12, t2:5.10
  • α:1.43, R:4.51
  • N1:7,012(68%), N2:7,297
  • Ps1:1.35, Ps2:1.36
  • Press. Drop:7.4 MPa
AD-3一郎 VS クロロホルム 図
AD-3次郎 VS THF 図
AD-3三郎 VS N,Nジメチルアセトアミド 図
各選手、接戦を繰り広げていますが、第6ラウンドでまず三郎がダメージを受けました。粘る一郎、次郎も第9ラウンドで受けたダメージを隠せません。
このままマットに沈むのでしょうか?
実況

【クロマトA-2】 第10R

【クロマトB-2】 第10R

【クロマトC-2】 第7R

クロロホルム 150μL(累積)打ち込み後

  • t1:4.19, t2:5.14
  • α:1.41, R:3.39
  • N1:4,382(44%), N2:4,361
  • Ps1:1.62, Ps2:1.66
  • Press. Drop:7.1 MPa

THF 150μL(累積)打ち込み後

  • t1:4.02, t2:4.94
  • α:1.42, R:3.06
  • N1:3,402(33%), N2:3,626
  • Ps1:2.62, Ps2:2.65
  • Press. Drop:8.1 MPa

DMAc 50μL(累積)打ち込み後

  • t1:4.09, t2:5.07
  • α:1.44, R:2.79
  • N1:2,988(29%), N2:2,526
  • Ps1:1.77, Ps2:1.75
  • Press. Drop:7.9 MPa
AD-3一郎 VS クロロホルム 図
AD-3次郎 VS THF 図
AD-3三郎 VS N,Nジメチルアセトアミド 図
三郎選手、第7ラウンドのクリーンヒット(50µL)で立っていられない様子です。一郎、次郎も第10ラウンドまで耐えましたが、同じくヘロヘロの状態です。間もなくこの熱いバトルを終えることになるでしょう、みんなよく頑張りましたああ!
実況

【クロマトA-3】 第12R

【クロマトB-3】 第12R

【クロマトC-3】 第10Rで試合続行不可

クロロホルム 350μL(累積)打ち込み後

  • t1:4.00, t2:4.88
  • α:1.41, R:1.44
  • N1:883(9%), N2:784
  • Ps1:-, Ps2:-
  • Press. Drop:7.7 MPa

THF 350μL(累積)打ち込み後

  • t1:3.89, t2:4.76
  • α:1.41, R:1.15
  • N1:527(5%), N2:515
  • Ps1:-, Ps2:-
  • Press. Drop:9.4 MPa

DMAc 150μL(累積)打ち込み後

  • t1:3.77, t2:4.58
  • α:1.41, R:1.20
  • N1:652(6%), N2:572
  • Ps1:-, Ps2:-
  • Press. Drop:9.8 MPa
AD-3一郎 VS クロロホルム 図
AD-3次郎 VS THF 図
AD-3三郎 VS N,Nジメチルアセトアミド 図

一朗、次郎、三郎選手の各ラウンド全てのFLVN評価を行ったピーク理論段数(N1)のグラフをお示しします。グラフが見え難くて申し訳ありませんが縦軸がカラム理論段数(N1)、横軸が打ち込み量(累積)です。

A:クロロホルム打ち込み:AD-3一郎

理論段数変化

B:THF打ち込み:AD-3次郎

理論段数変化

C:DMAc打ち込み:AD-3三郎

理論段数変化

A:クロロホルム打ち込み:AD-3一郎
B:THF打ち込み:AD-3次郎
C:DMAc打ち込み:AD-3三郎

AD-3一郎から三郎まで全員が想定通り、討ち死にしました。クロロホルムとTHFはたまたまよく似た推移をたどり、累積打ち込量70µLを超えたところで、一郎、次郎の段数が急激に低下しました。が、DMAcの破壊力は凄まじいですね。数µL打ち込み段階から低下傾向を示して、クロロホルムやTHFのほぼ1/3量でAD-3三郎の理論段数をガツンを下げました。この後のDMAcを250µL(累積)打込んだ三郎カラムは圧損が急上昇し、通液不可能(試合続行不可能)となりました。よって 
第1回・多糖系コーティング型キラルカラム(AD-3)破壊王・決定戦の初代王者はDMAcに決定ですっ!!  
(というか、第2回があるのか??)

第1回・多糖系コーティング型キラルカラム(AD-3)破壊王・決定戦の初代王者はDMAcに決定

今回試した実験系では、ある程度の量までは性能を維持している結果も得られましたが、配管を流れる禁止溶剤の拡散の程度(装置構成にも依存)や、既にある程度劣化が進んだ状態のカラム、などによっても結果が全く変わってくる可能性がありますので、より極少量でも不可逆的な劣化を引き起こす可能性が十分にあります! 禁止溶剤との接触は絶対に避けてくださるようお願いいたします。

★まとめ

コーティング型キラルカラムに禁止溶剤を流すと、どうなるの? と結構、多くの皆さまからお尋ねを頂きますので今回は3種の禁止溶剤をAD-3カラムに打ち込んでの“第1回・破壊王決定戦”を開催いたしました。多糖誘導体種類によって、溶解し易い溶剤種が異なりますので、あくまでも今回の結果は“AD系充填剤”に対する結果ですが、破壊王の称号は“DMAc”が獲得しました。クロロホルム、THF は、ほぼ同着(2位と3位)という結果でした。
ちなみに耐溶剤型キラルカラム、iシリーズ(CHIRALPAK® “IA~IN”)カラムでは、DMAc、クロロホルム、THFをガンガン流しても、ビクともいたしません。今回の結果をご覧になって “怖っ” と思われたお客様には、是非、耐溶剤型キラルカラム、iシリーズをお勧めしたく思います。

ファーマテックBU ライフサイエンス研究開発センター 所長 大西(あ)
協力:同・研究開発センター 元田

多糖系コーティング型キラルカラムの取説はこちら 👉 (順相用 逆相用)

もえつきたぜ

日本化学会第104春期年会
/ 日本薬学会144年会
併催展示会に出展します!
(ライフサイエンス製品営業部 うおさき)

日本化学会第104春期年会 / 日本薬学会144年会

日本化学会第104春期年会および日本薬学会144年会の併催展示会に出展します!様々な弊社ライフサイエンスSBUの製品群を展示しますので、是非お気軽にお立ち寄りください。

薬学会年会では併催展示会場内で行われます「新技術・新製品セミナー」で発表をします!
今回はキラルカラムやDCpak®シリーズの新製品の講演はもちろんのこと、新規ワクチン投与デバイス(アクトランザ®ラボ)の講演もあります。薬学会に参加予定の皆様には、併催セミナーにも来ていただけると幸いです!

下記がセミナーの日程になります。

発表日時 発表タイトル
3月29日(金)10:00~10:20 新製品キラルカラムCHIRALPAK® INの特徴と使用例
3月29日(金)10:25~10:45 新製品アキラルカラムDCpak® PMPCの特徴と分離応用例
3月29日(金)14:45~15:05 ODSカラムとは一味違う、ダイセルカラムの分離例いろいろ
3月31日(日)10:00~10:20 新規ワクチン投与デバイスを用いた皮内DNA免疫法

プロ野球オフシーズンの楽しみ方
~’’アレンパ’’へ~
(ライフサイエンス研究開発C 堤)

優勝

まだまだ寒い季節は続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。2月、3月といえば、プロ野球だと春季キャンプの真っ最中、そろそろオープン戦が始まる頃ですね。毎日のプロ野球中継がなく退屈で楽しくないと思っている方も多数おられると思いますが、オフシーズン(俗にいうストーブリーグ)も野球ファンの私にとってはシーズン中と同様にかなりアツいです。
例えば、MLBでは大谷翔平選手や山本由伸投手等の球界を代表する名選手達がどこの球団にいくらで移籍するのか…。NPBでは昨シーズンから始まった現役ドラフトやFAの動向(今年だと西武ライオンズからソフトバンクホークスにFAで移籍した山川穂高選手とその人的補償は誰になるのか)…。リーグ優勝球団の優勝パレードやハワイ優勝旅行。各球団の秋季・春季キャンプ情報(誰が1軍キャンプに呼ばれるのか)などなど、面白いニュースが盛り沢山です。特に現在は昔と違って、優勝旅行の様子やキャンプの様子をYouTube等で発信してくれるという点がファンにとってはとても良い時代になったなと実感しております。贔屓球団のキャンプを観て、「今シーズンはこの選手が活躍しそうだ!」とか、「熱心に練習に取り組む姿勢からこの選手には頑張ってほしい!」といった次のシーズンに向けた期待にも繋がります。
さて、私は阪神タイガースファンなのですが、昨年は見事にアレ(リーグ優勝)を成し遂げ、さらにアレのアレ(日本一)も成し遂げました。日本一は38年ぶりということで、もし次回の日本一が38年後だとすると…、私は(今の年齢が30歳なので)68歳になっているのかと思うとゾッとします…。岡田監督の日本一決定後のコメント「前回は27歳だった。長かったですね。」も納得します。そうならないように、このまま強い阪神タイガースが続くことを心より期待しています。オフシーズンも気を抜くことなく練習に励んで、まずは2024年のシーズンはアレンパ(サトテルが考案、連続優勝の意味)を成し遂げて欲しいものです。

遠方(新井工場・新潟県妙高市)から両手にキラルカラムを持って応援しております。
アレンパ目指して、「さあ行こう!!!」

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