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ユーザーインタビュー
User Interview
スピーディな創薬研究を目指して!
ターゲット化合物の取得に
キラルカラムでの分取精製を活用
第一三共RDノバーレ株式会社
合成化学研究部 創薬合成グループ
主任研究員 宮崎 理樹 様
宮崎様のお仕事について教えて下さい。
第一三共の創薬研究を推進する上で鍵となる自社化合物や、ベンチマークとして評価する他社化合物の合成研究を2021年から現所属にて行っています。
合成するモダリティは多岐に渡り、低分子化合物に加えてペプチドやオリゴ核酸、糖鎖複合体等の中高分子合成も手掛けています。
それまで所属していた研究所では低分子合成がメインでしたが、現在は様々なモダリティに研究の幅を拡げ、HPLCを用いた分析・分取を通じてダイセルのキラルカラムを活用しています。
「キラルカラムを使用する
ようになったきっかけ」について
教えてください。
入社して5年目の頃、担当していた抗癌剤のテーマで、他社ベンチマーク化合物を10グラムスケールで合成し光学分割する機会がありました。
分取条件の検討を行うのに手持ちのキラルカラムを片っ端から試し、最も良好な結果だったのがCHIRALCEL® OD-Hでした。
当時はまだ分取HPLC装置も今ほど洗練されておらず、分取には20mm内径のセミ分取カラムを用い、手動でインジェクションとフラクション回収を一日中、何日間も行って必要量を確保したのは苦い思い出です(笑)。
ダイセルキラルカラムの良い所について教えてください。
何と言ってもバリエーションの豊富さ、これに尽きます。i-CHIRALシリーズでは使える溶媒の種類も増え、分取条件を検討する幅が飛躍的に拡がりました。
THFや酢酸エチル、ハロゲン系の溶媒が使用できるため、結晶性の高い化合物の分取でも析出やピーク形状の悪化を心配することなく、HPLC分取が行えます。
またダイセルのカラムは多糖誘導体をキラルセレクターとしたタイプですが、他種類の担体やセレクターのカラムと比較してピーク形状がシャープな印象があります。
キラルカラムを使用することにより、お仕事に活かされた点など
ございますでしょうか?
創薬研究において光学活性体の合成・評価は必須であり、キラルカラムを用いた光学分割は研究に必要不可欠な精製法です。これまでにデザイン・合成したどの開発候補化合物も、どこかで必ずキラル分取の工程があり、キラルカラムは創薬研究に大きく貢献しています。
確かに立体選択的な合成ルートを見出し、分取に頼らないスキームを構築することも重要ではありますが、高い光学純度で目的物を得るルートの探索には時間を要します。
スピード重視で研究を進めるためには、キラルカラムを用いた光学活性体の分取を活用することも、重要な手段だと考えています。
社内のある研究チームが、有望化合物の分取条件検討をダイセルさんに依頼したところ、良好な分取条件が見いだせず分離は困難、という回答をいただきました。
しかし何とかして光学活性体を得る必要があったため、そのチームから相談を受け、ダイセルさんの参考条件をもとに、自前で挫けずに検討した結果、非常に良好な分取条件を見出すことができました。
このとき付いた呼び名が「ダイセル品川支店(第一三共の研究開発センターは品川にあります)」でした(笑)。
この成果を活かして創製された抗癌剤が、いま新薬として医療現場で使われています。
キラルカラムに関してダイセルに
期待している点など
ございますでしょうか?
カラムのバリエーションも増え、もはや分離できない化合物は無いくらいになってきたかと思います。一方で豊富なラインナップのうち、「どのカラムを使用したらよいのか?」というユーザーも多いのではないでしょうか?
分離できるかは一度分析してみないと判らなかったり、カラムのチョイスは経験によるところが大きいため(だからこそ面白い、とも言えますが)、
官能基や構造による分離傾向の違いや得意/不得意分野など、もう少し理論的にカラムを選択できるサポートデータが揃うといいな、と思います。
最後に、ダイセルに対するイメージを教えてください。
ダイセルさんはBtoBの分野が多く、あまり世間に名前が出てくる機会が無い中で、キラルカラムに代表されるライフサイエンス製品は数少ないBtoCの領域だと思います。
事業領域全体から見るとほんの一部かもしれませんが、世界中の科学論文で「Daicel」の文字が散見され、キラルの分野では世界規模で唯一無二の技術を有し、キラリと輝いているイメージです。
今後も日本発のオンリーワンテクノロジーを極め、創薬研究をサポートしていただけたらと思います。